株主リストの添付
商業登記規則の改正により、商業登記の申請時に株主総会議事録を提出する際には併せて株主リストの添付が義務づけられることとなりました。
これは、登記すべき事項が株主総会の決議を要する場合に別途株主リストを添付することによって、登記の真実性の確保と法人格の悪用の防止を図るためとされています。
株主リストが必要な登記
定款変更など株主総会を開き、株主総会議事録を添付して申請する登記は株主リストが必要となります。
- 登記すべき事項につき株主全員の同意(種類株主全員の同意)が必要な場合
- 登記すべき事項につき株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合
株主リストに記載する必要のある株主は、当該株主総会において議決権を行使することができる人です。基準日を定めた場合には、基準日における株主を記載することになります。
具体的には以下の手続きなどにおいて必要となります。
- 役員の選任・解任・重任
- 増資・減資
- 本店移転
- 商号変更
- 目的変更
- 公告方法の変更
- 組織再編
下記のような場合も株主リストは必要です
- 株式会社だけではなく、有限会社(特例有限会社)、投資法人、特定目的会社も社員のリストの提出が必要となります。
- 登記事項について、書面決議などで株主総会決議を省略する場合にでも株主リストの添付が必要となります。
- 登記すべき事項について、種類株主総会の決議を要する場合には当該種類株主についての株主リストが必要となります。
- 議案によって議決権を行使できる株主が異なる場合には、議案ごとに株主リストを作成する必要がありますが、登記に関係ない議案については株主リストは必要ありません。
株主リストとは
会社法が規定する株主名簿とは記載事項が違います。
登記すべき事項について株主全員の同意を要する場合
株主リストは、株主全員について次の事項が記載されている必要があります(記載事項については代表者が証明する形-会社代表印を押印-となります)。
- 株主の氏名又は名称
- 住所
- 株式数(種類株式発行会社は、種類株式の種類及び数)
- 議決権数
登記すべき事項について株主総会の決議を要する場合
この場合、株主リストは次の事項が記載されている必要があります(記載事項については代表者が証明する形-会社代表印を押印-となります)。
- 株主の氏名又は名称
- 住所
- 株式数(種類株式発行会社は、種類株式の種類及び数)
- 議決権数
- 議決権数割合
登記すべき事項について株主総会の決議を要する場合に記載する株主の人数
全員分の株主リストは必要ありません。
議決権総数の上位10人または上位3分の2に達するまでの人のいずれか少ない人数となります。
(例1)
株式総数 100 議決権総数 100
株主A 50株 株主B 25株 株主C,D,E,F,G それぞれ5株 だった場合、
株主A,Bで議決権の3分の2を超えるので、株主リストには株主A,Bのみを記載します。
(例2)
株式総数 100 議決権総数 100
株主A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K それぞれ9株 株主L 1株 だった場合、
株主A~Jで10名には達しますが、Kも同数の株主なのでA~Kの11名を記載します。
(例3)
株式総数 100 議決権総数 100
株主 1株を保有する株主が100名いる場合
100名全員の氏名等を株主リストに記載します。
上記のように、保有議決権数が同数の株主が複数いる場合に上位となる10名の株主が11名以上となる場合(保有議決権数が10位である株主が複数いる場合など)は、その11名以上の数の株主を記載が必要となり、また、「多い順に加算した割合が3分の2に達するまでの人数」についても、同順位の株主が複数いる場合には、その一部の株主の議決権を合計して3分の2に達したとしても同順位の株主全員を記載する必要があります。
ご注意ください
欠席した株主や議決権を行使しなかった株主も決議時点で議決権を行使できることができる株主(基準日を定めた場合には、基準日における株主)であれば記載する必要があります。
株主リスト以外の書面を利用する
一定の要件を満たしている場合は、確定申告の際に税務署に提出する「同族会社等の判定に関する明細書」や「有価証券報告書」を株主リストの代わりに利用することができます。
同族会社等の判定に関する明細書を利用するには
同族会社等の判定に関する明細書を利用するにはいくつかの要件があります。
- 明細書の「発行済株式の総数又は出資の総額の欄」に「発行済株式の総数」が記載されている株式会社である。
- 明細書に記載された株主の氏名・住所・株式数などが株主総会の日(基準日を定めた場合には基準日)と同じである。
- 種類株式発行会社ではない。
- 同族関係者の保有する株式を合計して記載してある場合に、株主総会で議決権を行使することができた株主の議決権を議決権の多い順に加算した合計が、その登記事項について議決権を行使することができた総株主の議決権の3分の2に達するまでは、明細書に記載されている株主のみとなっている。
- 同族関係者の保有する株式を合計して記載していない場合に、明細書に記載された株主のうち、株主総会で議決権を行使することができた株主の議決権を合計すると、その登記事項事項について議決権を行使できた総株主の議決権の3分の2を超える。
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