労働保険手続き(1)
労働保険とは
労働保険とは「労働者災害補償保険(労災保険)」と「雇用保険」のことを指します。
労災保険
労災保険とは、労働者*1が災害にあった時に保証してくれる保険で、その災害には業務上及び通勤途中の負傷、疾病、障害、死亡があり、それぞれに労働者もしくは遺族に対して保険給付があります。
*1 労働者とは:労働の対償として賃金が支払われる人
雇用保険
雇用保険は、労働者が失業した際に、労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために失業等給付を支給するほか、事業主に支給される助成金や、労働者に支給される雇用継続の給付制度もあります。
労働保険の適用事業所と適用対象者
労災保険の適用事業所と適用対象者
労災保険は事業所単位で適用され、株式会社は労働者を1人でも雇っていれば適用事業所となります。1つの会社であっても、本社、支店、工場等に分かれていれば、それぞれが事業として扱われます。
適用事業に雇用されている労働者であれば、常用・臨時雇・日雇・アルバイト・パートタイマー等の名称や雇用形態に関係なく労災保険の保護を受けることとなります。事業主と同居している親族や法人の役員については、一定の条件を満たす場合に限り、労災保険が適用されます。
雇用保険の適用事業所と適用対象者
雇用保険においては、労働者を雇用する事業はその業種規模等を問わずすべて適用事業となり、事業所単位で雇用保険の適用を受けます。また、適用事業に雇用される労働者で、65歳以上で新たに雇用される者等以外の者は、原則として被保険者となります。被保険者の範囲は次のとおりです。
雇用保険の適用対象者
- 一般被保険者(65歳未満の常用労働者)
- 高年齢継続被保険者(65歳を超えて引き続き雇用される者等)
- 短期雇用特例被保険者(季節的に雇用される者等)
- 日雇労働被保険者(日々雇用される者、30日以内の期間を定めて雇用される者)
また、パートタイマー・アルバイトなどであっても次の条件を全て満たす人は対象となります。
- 31日以上雇用される見込みがあること。
- 期間の定めがなく雇用される場合
- 雇用期間が31日以上である場合
- 雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
などがこれに該当します。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
一般労働者以外の適用について
- 代表取締役
原則、労災保険の適用はありません。ただし、労働保険事務組合に労働保険の事務処理を委託した、業種ごとに一定の規模以下の代表者であれば特別加入することができます。雇用保険の加入はできません。
- 役員
役員も原則、労働保険の適用はありません。ただし、労災保険については代表取締役などから指揮監督を受けて労働に従事し、その対償として賃金を得ている者は、「労働者」として取扱われ対象となります。
また、雇用保険については、取締役であっても同時に、部長・支店長・工場長など従業員としての身分を有する者は、報酬支払等の面から見て労働者的性格の強い者で、なおかつ、雇用関係があると認められる者に限り被保険者として取扱われます。
- 事業主と同居している親族
事業主と同居している親族は、原則として労働者にはなりません。ただし、同居の親族とともに一般労働者を雇用し、就労の実態が他の一般労働者と同様であり賃金もこれに応じて支払われている、業務を行うにつき代表取締役の指揮命令に従っていることが明確であるなどの条件をすべて満たした場合のみ、労働者として扱われます。
また、雇用保険については、代表取締役と利益を一にする地位にないことが条件となります。
- 派遣労働者
労災保険については、派遣元事業場で適用されます。雇用保険については派遣元事業場で適用されますが、以下の2つの要件が必要です。
- 1週の労働時間が20時間 以上であること
- 反復継続して派遣就業する者であること
- 海外出張者
労災保険については、国内の事業に所属し、当該事業の使用者の指示に従って勤務し用務で出張する場合は適用となります。海外派遣の場合は適用されません。雇用保険については、適用事業主に雇用される者であれば適用されます。
- 昼間学生
昼間学生は原則、雇用保険の被保険者とはなりません。以下の場合のみ、被保険者となります。- 卒業見込証明書を有する者であって、卒業前に就職し、卒業後も引き続きその事業所に勤務する予定の者
- 休学中の者
- 一定の出席日数を課程修了の要件としない学校に在学し、適用事業において他の労働者と同様に勤務している者
- 2つ以上の適用事業に雇用される者
同時に2つ以上の事業主と雇用関係にある人は、二重に被保険者となることはありません。生計を維持するのに必要な主に賃金を受けている方の雇用関係についてのみ被保険者となります。
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